1オクターブの7つの音を「7つの惑星」に当てはめる考え方は、古代ギリシャからバロック時代にかけて、多くの理論家がそれぞれに提唱されてきた。
最も代表的な対応関係(ピタゴラス音階やボエティウスの理論に基づいたもの)は、地球から見た天体の配置(天球の層)を、音の低低から高へと当てはめたもの。
7つの音と惑星の対応表
| 音名 | 対応する惑星 | 象徴する性質 | 音楽的な役割(例) |
|---|---|---|---|
| ド (Do / Ut) | 月 (Luna) | 変化、受容、流動 | 基礎、すべての始まり |
| レ (Re) | 水星 (Mercurius) | 知性、伝達、素早さ | 軽やかな装飾、動き |
| ミ (Mi) | 金星 (Venus) | 愛、美、優雅 | 甘美な旋律、3度の和音 |
| ファ (Fa) | 太陽 (Sol) | 生命、自己、光 | 中心、輝かしい響き |
| ソ (Sol) | 火星 (Mars) | 情熱、闘争、勇気 | 力強い跳躍、エネルギー |
| ラ (La) | 木星 (Iuppiter) | 拡大、正義、秩序 | 壮大な和声、豊かさ |
| シ (Si) | 土星 (Saturnus) | 制限、忍耐、厳格 | 終止へ向かう緊張、重厚さ |
この対応が持つ意味
「太陽(Sol)」と「ソ(Sol)」の偶然
偶然にも、ラテン語の太陽(Sol)と階名の「ソ(Sol)」は同じ綴り。
そのため、多くの理論家が太陽を音階のちょうど中心や、最も重要な位置に据えた。
太陽が宇宙の中心で光を放つように、音楽の中にも光り輝く中心点があると考えた。
土星(シ)の緊張感
土星は当時、肉眼で見える最も遠い惑星であり、死や限界、そして「憂鬱(メランコリー)」を象徴。音階の最後、オクターブに戻る直前の「シ」の音(導音)が持つ強い緊張感や、解決を求める性質は、土星が持つ「境界線」のイメージに重ね合わされた。
チェンバロでの解釈
チェンバリストとしてこの対応を意識する場合、
例えば「土星(土星)」を象徴するヘキサコードから「月」を象徴する低音への移行を、宇宙の果てから地球への帰還として捉えることができる。
- 低音域(月・水星): 湿り気があり、変化に富む通奏低音。
- 中音域(太陽・金星): 旋律が歌い、美しさが際立つ音域。
- 高音域(木星・土星): 厳格な対位法や、天上の輝きを示す装飾。
鍵盤の音域を「宇宙の階層」として捉え直すと、バロック作品のポリフォニーが、単なる音の重なりではなく「惑星同士のアスペクト(角度)」のように見えてくる。


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